ゼロ

THE BATMAN-ザ・バットマンーのゼロのレビュー・感想・評価

3.5
マスクに隠された嘘を暴け。

上映時間が176分と3時間近くある大作。表題にあるようにDCコミックスの「バットマン」を主人公とした新作映画。劇中で「バットマン」に至る経緯の説明はないので、みんな知ってるよね?というのが大前提の作品。

今回のバットマンは、暗くて、陰影で、救いがない。物語としての暗さもあるが、映像としても暗い。ほほ9割が夜のシーンであるため、ずっと暗いです。ゴッサム・シティの現状を表現しているのとバットマンの活動が夜なため、目が疲れることは否定できません。

映像としては、ペンギンとバットマンがカーチェイスしていたシーンが大きく動きがあり、迫力がありました。あのシーンも外に出ると雨で、二人が道路を暴走し、事故を起こし、トラックを炎上させながらも、ペンギンを追い詰めたバットマンは、どっちが正義だが分かりません。

次に、キャッチコピーにもありますが、バットマンがリドラーから出される「謎」を解いていくのですが、バットマンの解答が早いため、視聴者は一緒に悩むということはありません。いくつか謎を出しているので、その解決に向けて動いているのもあり、上映時間が増えてしまったのでは…?と感じます。

そして、終盤ではバットマンとリドラーにある共通点が見つかります。それは表現の仕方が違うだけで、表裏一体なのかもしれません。バットマンはリアル路線であり、本作のバットマンは特に自虐的なところもあり、悩んでいるのが伝わってきます。親への正義を信じたことこそのバットマンなのに、その親が裏切りをしていたら?というのがね。他の政治家などが私利私欲のために麻薬を売買していたりと、まあ荒廃しています。

作中で使われていた「ニルヴァーナ」の「Something In The Way」が本作品を見事に表現していました。気だるい感じと正義の線引きを歌った歌詞が、ゴッサムシティの現状を表していました。

非常に濃厚であり、登場人物を現実に即した形で描いた作品であるが故に、バットマンの姿が気になりました。キャットウーマンやリドラーやペンギンの姿がぶっ飛んだものではないので、警察官と一緒に行動するバットマンは浮いていました。またバットマンというネームがあったからこそ描けた世界であり、単品の作品として観ると、アクションもスリルも弱いかな…と感じたのが本音です。

新たなバットマンとして期待ができる作品でした。闇の中を生き続けるダークヒーローのバットマンの姿を、次も見届けたいと思います。

GOOD BYE <?>
ゼロ

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