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THE BATMAN-ザ・バットマンーのNOBUのレビュー・感想・評価

2.8
ノーラン三部作であまりにも素晴らしいバットマン像を創り上げた中で、本作は難しい立ち位置からの出発であった様に思う。

ノワールな映像と、ノーラン版以上にヒーロー性を否定した生身のバットマン像は個人的に評価できるものの、ブルースウェインを始め、執事のアルフレッド、ゴードン、リドラーとバットマンお馴染みのキャラクター表現があまりにも弱すぎる。
唯一しっかり描けていたのはゾーイクラヴィッツが演じたキャットウーマンであろう。
結局、役者の問題だけではなく、オープニングの前提からそれぞれのキャラクター設定と人間関係が明確に伝えられておらず、そのままテーマの提示が弱い中でストーリー展開に入ったため、新しいバットマンキャラクターに着いていけなかったはずである。

主人公ブルースとバットマンの二面性にもメリハリがなく、バットマンである意義が見出せない。モノローグも結局意味を成していない。
そうなると過去のバットマン像を刷新できた作品とは言い難いのが正直なところである。
中盤から後半はアクションと緊迫したリズムで何とか持ち直しはしまものの、やはりリドラー本人が登場してから展開がトーンダウン。
キャラクターが弱いまま終盤に来たための結果であろうかと感じている。

映像は素敵でも脚本が弱いとやはり映画としては難しい結果になる一例でもあるのではないかと思う。
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