2022年公開のマット・リーヴス監督作品。
(※2021年に公開予定だったが、パンデミックにより2度の延期)
日本語吹替版&字幕で鑑賞。
手に取る際に『ダークナイト』三部作があまりにも傑作だった事と、そもそもバットマンって何回コスるんだよと一瞬ためらいがよぎった。
しかし、よく考えればそもそも日本が“ヒーロー代わりしすぎ”な流れだし、「シン・ウルトラマン」や「シン・仮面ライダー」みたいなものだと考えたら別に拒む必要もないかと思い直しレンタル。
ストーリーは、バットマンが法の外からゴッサムシティの治安維持にあたって2年が経った頃の話。
ハロウィンの日に市長が殺害され、バットマン宛の謎かけが施されていたことから物語は動き出す――といった導入。
んーと、総じて悪いって事はないけれど、ここがめちゃくちゃ掴まれた!という事もなく。
いくつか気になった点を。
まず1つは、画面が暗い。
バットマンは夜行性という設定と世界観を遵守しているのか、終始、画面全体が暗くせっかくのアクションシーンで何をしているか分からない所が多かった。
その暗さを逆に活かした演出も多々あった。
だけど、本編時間が長いことも相まって、正直ところどころ“ながら見”になってしまった。
(※なのでこのレビューもそんなに深堀りや考察はない)
次に、キャットウーマンの潜入のくだりで秘密ラウンジに現職の警察官や地方検事が素性そのままで入り浸ってフルネーム明かして自己紹介するか?
いくらゴッサムが腐敗した街とはいえ、ちょっとそれはガバガバな気が。
あとは、今作の敵・リドラーとの邂逅が呆気なかった所。
あんだけ謎かけ振り撒いて、いくらリドラーがサイコパスだからって、ちょっとアッサリ台詞だけで畳みすぎじゃ・・・と思っていたが、どうやらこの「ザ・バットマン」は三部作と幾つかのスピンオフを予定しているらしい。
ならまぁ、まだまだ続きがありますよって見せ方でもいい、、、のかな。
にしても今作のストーリー、既視感があってゲーム実況配信で見たことあるような気がするのだけど、気のせいだろうか?
(※そもそもDCコミックスで原作ありきの作品なのだから、既視感もへったくれもないという事は百も承知だが。)
とはいえ、ダークナイト三部作もそうだったが、バットマン=ブルース・ウェインのモノローグが印象的。
BGMもアコースティックギターのイントロが耳に残るグランジで効果は抜群。
中盤で“どんなに善人でも追い詰められれば人は変わる”ってさらっと語られたセリフが、あまりにも真理で得も言われぬ感情になる。
あと、劇中でバットマンは“復讐野郎”として揶揄されている。
ちょっとキャッチーなネーミングだなと思った。
今回の声優さんハイライトは、主演の櫻井孝宏さんも素晴らしかったが、個人的にはペンギン役の吹替を担当した俳優・金田明夫さんの演技が素晴らしく渋かった。
なんだかんだで、アメリカのマーベルとかアベンジャーズとかDC系のヒーローで「バットマン」って好きだよなぁ、と改めて思った。
造形だけならアイアンマンだが、ストーリー性とかテーマとか、脚本の主題の部分で善悪の価値観を根底から考えさせてくる“ダークヒーロー”ってものに、どうしようもなく惹かれる。
(※悪いことが好き、とかそういう単純なものでなく社会の構造と理想と現実)