sushi

THE BATMAN-ザ・バットマンーのsushiのレビュー・感想・評価

4.0
一番好きなヒーロー映画は『アンブレイカブル』なんだけど、本作はそれに次いで好き。
冒頭でリドラーの殺人とバットマンの悪人退治を同時並行で描きつつ、一方的に"見る"仮面の男たちという点で彼らは似ているものの、見る視点が異なっているのは終盤で反復される。リドラーは見下ろし、バットマンは見上げる。ただ、冒頭で両者は影の中に潜んでいたが、バットマンは日の当たるところへと出たことでヒーローとして確立する(ここのヴィジュアルイメージは非常に安直ではあるんだけど、だからこそ現代のヒーロー像にふさわしいとも言える)。しかし、完全に仮面を剥ぎ捨ててはいないため、次作ではコスチュームを脱いでブルースウェインとして公の場に出るという展開が待っているのだろう(『ダークナイト』のアンチテーゼとしての『アイアンマン』のように)。
あと群がるヴィランというアイデアも良かった。映画のラストにジョーカーらしき人物も出てくるが、バットマンが冒頭で戦った若者たちはジョーカーのようなメイクをしていたことから、彼も同様に群れるヴィランの一人なのだと思う。この発想はもちろん『ジョーカー』に大きく影響を受けているのだろうけど、ヒーロー映画として堂々と描いたのは本作の功績だと思う(『ジョーカー』は芸術映画的な演出もされているので、ある種の"逃げ"があった)。
sushi

sushi