ユカートマン

サラエヴォの銃声のユカートマンのレビュー・感想・評価

サラエヴォの銃声(2016年製作の映画)
3.7
20世紀の血の歴史はサラエボに始まりサラエボに終わるー 1914年に起きた第一次世界大戦の引き金となるサラエボ事件も、90年代のボスニア紛争も、20世紀のヨーロッパを語る際にサラエボは外せない。本作品は第一次世界大戦勃発100周年の記念式典が行われるホテルの従業員と経営者、来賓の要人とその近くで撮影されているサラエボ事件を巡っての情報番組に出演している人間を描いた偶像劇。舐め回すような背後からの長回しがリアリティさを生み、舞台のような緊張感に包まれる。と思ったら原作は戯曲でした。セルビア系住人とボシャニク人のジャーナリストのお互いの正義をぶつけ合った議論はどっちも筋が通っている主張で、伊藤博文を殺した世界のナベアツ似のアイツのことが脳裏によぎったのは私だけではなかった模様。一応韓国では英雄扱いされてるし…
イギリスのEU離脱、難民問題、欧州全土に蔓延るポピュリズム、揺れるに揺れる現代のヨーロッパ。その火薬庫からこんな面白い映画が出てくるとは、ヨーロッパも映画に限ってはまだ捨てたもんじゃないと思いました。NEVERまとめでサラエボ事件およびユーゴスラビアの歴史に関する知識をザックリ身につけてから鑑賞することをオススメします。
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