Kaji

わたしたちのKajiのレビュー・感想・評価

わたしたち(2016年製作の映画)
3.7
ヒリヒリした。
少女のひと夏、友情が固まる前の「なかよし」二人の話。

10歳頃、女子の間で出来始めたグループ化がほんとに苦手というか、別に持ち物になんかされたりとかなかったけど辛かったなー。

自分の考えも言語化できないのに、誰かの考えに合わすってのがすごく難しくて、あーうー言うてる間に「もういい」ってなるあの感じ。強くて攻撃的な言葉が出やすいあの感じ、、
 せっかくその傷口には新しい皮膚ができていたと思ってたのに、かさぶたって剥がしちゃうもんね、、、
あの爪を染めたのが伸びて無くなっていくディテールはうまかったなぁ。


イチャンドン監督に見出された監督と大きく出ていたが、ユンガウン監督も観察眼に長けて演技演出に手抜きのない眼の厳しい人という作品印象でした。
ナイーブにしすぎない、役の視点にも寄りすぎない、余分なセリフを厳密に取り除いたようなニュージャーナリズム的な距離の取り方でナラティブを作っていく作風で、弟子というか、師弟関係がしっかりあるのかなと。
ただ一派を形成するのもイチャンドン監督は好きじゃなさそう。。想像ですが。

女性監督、女性映画っていうのもそろそろなんだかな、って思い始めてるんですが「声もなく」のホンウィジョン監督が行ったノワールの変奏、「ユンヒへ」イムデジョン監督や「三姉妹」イスンウォン監督が出自と別のジェンダーを題材にしたり、パクチャヌク監督「別れる決心」でのケアの問題、またホンサンス監督の近作に漂う主体の変化などなど、性別二元論を閉じて語らなければ作品の根幹を見落としそうな映画が増えてきているので、ジェンダーや経験への理解/無理解の線を考える段階ではなくなってきてるのかなと潮流を見ています
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