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山<モンテ>のaccoのレビュー・感想・評価

山<モンテ>(2016年製作の映画)
4.0
暗黒時代と言われていた中世ヨーロッパに興味があり、しかもオールイタリアロケというので、1日のみの上映だったが頑張って映画館へ。

本からの知識だけれども、中世ヨーロッパでは領主の搾取がとんでもなく、なにをするにも領主の許可が必要だったと記憶しているが、この作品では領主は登場せず。
ただあんな草木も生えないような土地を先祖からのものと言っているということは、過去にあの土地で暮らさざるを得ない何かがあったと推測される。

鑑賞しながら日本の潜伏キリシタンのことを思い出した。彼らも搾取され搾取され、弾圧され弾圧され、それでも神にすがった、というかすがるしかなかった。
この主人公家族も境遇は似てるが、違うところといえば仲間がいないこと。仲間がいれば「みんなで信仰を続けましょう!」となるんだろうけど、主人公家族にはそう励ます外部がいない。でも良心はギリギリ保ててる。じゃあ神は要らない、となるのは自然。

岩山をトンカンし始めたのは、怒りからだったのだろう。妻も息子もいなくなった(と思ってた)絶望感。自暴自棄になり、とりあえず目の前にいっつもそびえ立っているこの忌々しい岩に溢れ出て止まらない怒り、涙、命をぶつける。
もしかしてこの人、岩に何かを彫り出すつもりなのかなとか途中思った。キリストはもう助けてくれないので、自分が思う神の姿だったり、自分は神に依存する存在じゃないということで自分の姿だったり。
あと、そんだけ叩いてたら先に柄が折れるよねーとか。
そんな余計なことを考えるくらい、トンカントンカンやってるけど、なぜか見てて飽きない。うまく妻の姿を挟んでくるから時間の経過もわかる。

あらすじを言えと言われたら多分30秒で言える話。だけど登場人物の境遇、心理状況を説明すると、何時間でも語れると思う。

昨日みたロードオブザリングの、なんて薄っぺらいことか(笑)。あれは娯楽映画だから仕方ない。
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