てんさん

なっちゃんはまだ新宿のてんさんのネタバレレビュー・内容・結末

なっちゃんはまだ新宿(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ほんとのところ、何に対して執着していたんだろう。
あきちゃんはいったい誰が好きだったんだろう。

学生の時から薄々思っていたし、社会人になってからはっきり思うことがある。
みんな自覚していなくても、潜在的にどこか心の片隅で、人を階級で見ている。

学生の時、中心的な男子グループの男は、同じく中心的な女子グループの女の子と付き合っていた。社会人になると、少なからず収入や会社での立場がその人のモテ具合に影響する。
もちろん、それがすべてじゃないことはわかっている。
それでも人を好きになりそうな時、年齢を重ねるにつれて、チラッと邪な考えが頭の片隅をよぎる。

イケてる男の彼女は、イケてる男と付き合っているという理由だけでなんだか素敵な女性に見えてくる気がする。

話を映画に戻すけど…

あきちゃんは、ほんとに岡田くんのことが好きだったの?
美人で愛嬌があってスタイルも良い(と妄想している)、そんな素敵ななっちゃんの彼氏だから岡田くんが好きだったんじゃない?

岡田くんへの恋心の根っこにいたのはなっちゃんだった。
そのなっちゃんが大人になって自分よりも堕ちていることがわかってしまって、岡田くんへの恋心自体が崩れ去ってしまいそうになったから、それが怖かったからあんなに怒ったんじゃないのかな。

大人になった岡田くんがなっちゃんを忘れていた時のキレ方はどう見ても異常だった。
なっちゃんには社会に消費されず、ずっとイケてる女性であってほしかった、自分が岡田くんを好きでいるために。

結婚の直前、ほんとに好きだったのは岡田くんではなくその彼女であったイケてる女の子、なっちゃんだったことに無意識に気づいてしまった。

妄想癖の主人公が出てきて現実離れした怖い映画だなと思ったけど、あらためてよくよく考えてみるとわりと現実にありそうなシチュエーション。
他人を鏡に人を好きになるって、そう聞いたらひどいと思うけど、無意識的にそうなってる人、結構いそう。
教訓として、そうならないよう心に刻んでおきます。笑
てんさん

てんさん