たくみ

なっちゃんはまだ新宿のたくみのレビュー・感想・評価

なっちゃんはまだ新宿(2016年製作の映画)
3.0
『ひらいて』の首藤凛監督の作品。
ずっと観たかったので、渋谷TSUTAYAで見つけてテンション上がって借りてしまった。
(地元の弱小TSUTAYAじゃ扱ってなかった)

映画の雰囲気は『ひらいて』に近いものがありました。
自分の思い通りにならないと満足できない女性が今作でも描かれています。
(『ひらいて』と比較して感想書いてるので観てない人には伝わらんかもです)

主人公のアキは絶賛片想い中の女子高生。
そんなアキの好きな人(岡田)の好きな人、なっちゃん。
前半はそんな2人の会話が中心に描かれる。
(細かくいうとおそらく全てアキの妄想)

好きな人の好きな人なのだから完璧であってほしいという思いが、幻想のなっちゃんを生み出している。
そんななっちゃんと対話し続けるアキ。
個人的にはなっちゃんの全てを知り、岡田の好きな人ってこんなひとなんだと把握しているように見えた。
なっちゃんの全てを知りたいという願望は『ひらいて』の美雪に対する愛の感情に似たようなものを感じた。
そういった意味でも独占欲が強い主人公が色濃く描かれていると感じた。
中盤でわかるが、アキの幻想と現実のなっちゃんには乖離がある。
それを受け入れることが出来ずなっちゃんを連れ出して答え合わせをしているように見えた。

また、アキは付きあっていたことをお互い忘れている岡田となっちゃんに怒りをぶつける。
これもまた自分の中で幸せだった2人があの日々を忘れているという現実を受け止め切れず2人に当たってしまっているように映る。
自分が信じているものが否定されると感情的になる感じも『ひらいて』の愛にすごく似ているし、監督が描きたくなる人間ってこういう人なんだろうなと感じた。

自分の信じていた幻想とは違う現実を受け入れるためになっちゃんを理解しようとするアキ。
現実を受け入れた時、なっちゃんの幻想は消え去り、新宿には朝陽が差し込んでいた。
このラストは希望が満ちている感じで好きだった。

全体を通して難解で、アキが何に囚われているのかが掴みづらかった。

もしかしたらアキは追いかける恋愛に燃えるタイプなのかもしれない。
岡田に片想いしている時の方が生き生きしていたと思う。
自分のものにする過程が楽しくて仕方ないのかもしれない。
アキが「他の人としたことあるの?」と聞く場面がいくつか出てくる。
これを色んな人に聞いている時点で自分以外の人間とどういった関係であったのかという過去を把握しておかないと気が済まない性格なのかもしれない。
そういった過去にこだわり過ぎて“今”を生きる事が出来てない哀しい人間に見えた。

本作が『ひらいて』につながっている感じはビシビシ感じるし、これがあったからこそ『ひらいて』がよりわかりやすくまとまっていたのだと思います。
興味ある方は『ひらいて』とセットで鑑賞してみてください。

【その他メモ・独り言】
・消費されないで。
・消費されないでたまっていくアイス。
・POLTAのライブが思いのほか長い。
たくみ

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