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なっちゃんはまだ新宿のeyeのネタバレレビュー・内容・結末

なっちゃんはまだ新宿(2016年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

"なっちゃんはまだ新宿"(2016)

思い起こせば2018年に観たけど
思い立ったのでレビューを書いてみる

この実直な いなたい
インディー感がけっこう好きで
お気に入りの映画でもある

ちなみにこの映画
"ホラー"ではないです…

物語は秋ちゃんこと 林秋乃が
なっちゃんに対する
想いを募らせるシンプルな映画

高校時代の他愛のない日々に
ところどころ煌めく瞬間が映ってる

そもそも秋ちゃんは
なっちゃんには会ったこともないし 話したこともない

岡田くんから伝聞される内容を
妄想している

秋ちゃんは潜在意識で
なっちゃんに対する
羨望や嫉妬、愛情、執着
あらゆる感情が混じって

必然的に"Alter Ego"を生み出す

秋ちゃんは現実を歪めてしまうほど自身を肯定している一方で

岡田くんがなっちゃんと別れ
そのあとに付き合うことになって
秋ちゃんはソレを肯定しきれない

アンビバレンスな状態になってる

もっというならば
秋ちゃんは精神が分裂していて
自己の定義がない

アイデンティティを
他者に見出してるから

タレントのマネージャーとして
POLTAのマネージャーとして
自分の立ち振る舞いにも気を遣って裏方に徹してる

なっちゃんに対し語られる
『もう人のために頑張るのは疲れた』

このセリフを聞いたときに

the mirrazが唄った
"ハッピーアイスクリーム"の中の

>自分の為だけに
>生きるのは卑怯だと思い
>誰かのために生きるふりをして
>実はそれを言い訳にしたいだけで
>手を抜きながら生きてきたんだ

っていう部分を
思い出してしまった

自分のためでなく
人のために生きてるから
自己嫌悪に陥ってしまう

対する象徴となるなっちゃんは

可愛さと愛嬌を圧倒的に兼ね備え
それでいて自由 ちょっとズルい

しかも男女問わない自然な媚びがある

あるべき理想の形は
なっちゃんと一緒に歩むことで
同一化することがベストなんだけど

ラストは観ての通り

おぶっていたはずの
なっちゃんはいなくなる

秋ちゃんにとって
なっちゃんは昇華されたのかは
分からない

でも秋ちゃんを迎えに来てくれて
そのままの肯定してくれる
愛ちゃんや岡田くんがいる

まぁ書きたいことを
つらつら書いたけど

自分は新宿に対して
羨望もなければ特別意識もしない

だけど

朝靄がかかって まだ街灯も見えて
始発が動き始めるその新宿の風景には

行き交う人々が見せる疲れた表情やガヤつく前の街並みの幻想的な美しさを覚えてしまう 

「明け方の新宿も悪くはないな」って考える 

新宿に行くたびに
甲州街道付近で撮影された
あの風景をきっと思い出すと思う
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