このレビューはネタバレを含みます
2022.136 223
マカロ二ウェスタンなるジャンルを確立するきっかけとなった作品。
黒澤明の『用心棒』を か・な・り パクっている。というかほぼ同じ。
個人的には『用心棒』を越える面白さはなかった。とはいえこの作品でイーストウッドが爆売れしたのだから、盗作は無駄ではなかったのだろうが…
でもやっぱりオリジナル(しかもそれが世界の黒澤)には勝てない。
『用心棒』と『荒野の用心棒』の演出上の大きな差は、暴力的シーンの扱い方だ。
用心棒では、主人公の拷問の過程はすっ飛ばして、既にボコボコにされた主人公をいきなり登場させる。
荒野の用心棒では、主人公が殴られる様子、バクスター家が放火され皆殺しに銃殺される様子などがつぶさに描かれる。
しかも放火→皆殺しのシーンはその行為の残虐さがカメラワークによって強調されており、もうそこには『用心棒』にあった冷静客観なハードボイルド的文体は失われている。