うさどん

愚か者の船のうさどんのレビュー・感想・評価

愚か者の船(1965年製作の映画)
3.5
本日の巣ごもり鑑賞。
1933年、メキシコからドイツに向かう客船上で繰り広げられるグランドホテル形式の群像劇。
ヴィヴィアン・リーの映画遺作で2年後には53歳の若さで亡くなってしまう。

オープニングタイトル映像は斬新でお洒落、映画の世界=船上にすんなり引き込まれる。

映画で船が向かう1933年のドイツは、年初、ヒトラーが首相就任し政権の座に就き、その後の独裁、戦争、大量虐殺への端緒となった年。
そのような中、船上では、反ユダヤのドイツ人、ドイツでの安心と安全を楽観視して帰国を喜ぶドイツ国籍のユダヤ人商人など、その後直面する悲劇を想像させ胸が痛む。
無事、ドイツに着岸し、幸せそうに下船する乗客、その後のそれぞれのドラマも垣間見える余韻ある作品。