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姉と過ごした最後の夏のSPNminacoのレビュー・感想・評価

姉と過ごした最後の夏(2017年製作の映画)
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美しい姉妹が美しい場所で過ごす最後の日々。死を前にした姉エヴァ・グリーンと妹アリシア・ヴィキャンデルが愛憎をぶつけ合う、ベルイマン『叫びとささやき』みたいな心理劇かと思ったら、ちょっと違う趣だった。
俗世間から隔絶された静かな山奥にあるのは、生を諦めた人々が心穏やかに安らかな死を迎えるための施設。まさに天国に一番近い場所。そりゃ死ぬ時は色んなわだかまりを捨ててスッキリしたいよねー、すべて望み通りにしてもらえるならいいよなあーなんて羨ましくなったりしたけども、まずあそこに入るほどのお金が要るし、支配人?がシャーロット・ランプリングなので落ち着かないし…そんなスッキリと人生清算できる訳ないのだった。入所者たちの穏やかなはずが穏やかでない最期が姉妹の話と並行して、若干シュールな寓話調である(平和なミッドサマー味も)。
意外と姉妹2人でいる時間が短いので、気不味い関係修復や過去を見つめ直すドラマはそれほど濃密じゃない。それでも2人の繊細な演技が淡い情景にとてもマッチしていて、特にエヴァ姉さんの儚げな姿は余計に美しくしんみりとさせられた。但し毎度裸が当たり前くらいのエヴァさんやっぱり…とか、元サッカー選手出てきた時(その前の話のせいで)3人でするのかと…いえ何でもないです。
ともあれ、すべては森の中での秘め事…というムードが、あるかもしれないし無いかもしれない理想の最期、当人にとってのEuphoriaだった。妹は母の時の負い目をこれで相殺したみたいになってるけど、どうなんだろう。また別のトラウマになりそうだけど…。
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