ゆかちん

ゲット・アウトのゆかちんのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.0
なるほどね〜。

不気味な物語の中に人種差別の風刺を込めた、よく練られた作品だなぁと感心。
興味深い作品やなぁと。

これホラーなの?
ホラーの定義がよくわからん。

正直、最初の方でオチというか話の筋はわかったけど笑、それをどう切り抜けるのかな〜どういうメッセージを示してくるのかな〜という感じで観ました。

あっ!と驚くというより、ほらほら〜やっぱり〜って観る感じでした。
こういうタイプを見慣れてきたからなのかな。


ニューヨークで写真家として活動している黒人のクリス(ダニエル・カルーヤ)は、週末に恋人の白人女性ローズ(アリソン・ウィリアムズ)の実家アーミテージ家に招かれる。
歓待を受けるが、黒人の使用人や家で開かれたパーティーに違和感を覚え……。




話の筋は割とすぐにわかったとはいえ、
黒人を差別する白人が、
黒人の能力に羨み嫉妬して、
黒人の体に自分の脳を移植したがってる
…という発想は、ほほ〜っとなった。


「差別してる」のに「成りたがる」って、
なんやねんその捻れた歪んだ感情。
それを黒人サイドから描くという。

差別するなら、普通は自分から離そうとするように思える。
昔アメリカでもあった公共施設とかを白人用のものと黒人用のものと分けるとか。
利用はするかもしれないけど、少しでも自分たちのエリアに入ろうもんなら許せない!近寄るな!混ざるな!みたいになりそう。線を引いて、お前らとは違うねん俺らのが上やねん!みたいな。

しかし、このアーミテージ家界隈の人たちは、黒人の身体能力や肉体を羨み、自分の命を延ばすために、その身体と一体化するような手術を行なっていた。
これは、先に述べた差別意識(自分たちとは違うねん!混ざるな!の精神)だったら嫌すぎることやと思う。

でも、彼らはそれを行っていた。

一体化しようとするということは、差別してないのか?というとそうでもない。
「黒人なら身体を乗っ取っても構わない」という意識も働いてるのだから。

でも、このアーミテージ家界隈には、アジア人(日本人)が混ざってたんよね。
ここに「およ?」とも。
アメリカのニュース観てると、白人は有色人種を差別して、その差別されてる黒人はアジア人を差別してるって印象だったので。
なんであそこに黒人同様、もしかしたらそれ以上に差別されてるアジア人放り込んだんやろ。
金に物言わす存在ってこと?
それなら日本人よりちゅ×⚫︎△…(偏見ですねスミマセン


現代の差別発言についてハッとさせられたのは、アーミテージ家界隈の人たちがクリスに、オバマ大統領が好きだとか、身体能力高そうとか、目が良いとか、黒人はクールだ(ファッション)と言うてたところ。

これ、後々彼を利用しようとしたための伏線で、そのための違和感として作り手は描いたんだと思うけど、この場面を観て、私は違う違和感を覚えた。
多分、全部褒め言葉。
言う側は、良かれと思って言うてる。
でも、これも偏見とか差別だなぁって感じてしまった。
黒人だって身体能力そんなにな人もいるし、目が悪い人といるし、オバマ好きでない人もいるし。
こういうのもある意味偏見で差別だよな〜と。
イギリスで活躍するSSWのリナ・サワヤマがグラストンベリーでTHE1975のマシューを批判したマイクロアグレッションのことを見たところだったからかな。このシーンがそれに当たるのかはわからんけど、連想させるシーンではあった。

なんか、差別問題て、自分とは違うんだ!ていうだけでなく、羨望とか嫉妬も混じるんだなぁと。
なんかややこしいね…。ムズッ。


ラストがスッキリして良かった。

アメリカの人種差別の話なら、黒人であるクリスはどう考えても不利で、逮捕されてしまうのではないかとヒヤヒヤしたので。
最後、パトカーみたいなのがきた時、うわあ状況的に疑われて絶望!て頭抱えたんやけど、扉のマークがTSAで出てきたのがクリスの親友でホッとした。
でも、帰っても無事なんやろか。
撃ってないけど止めるために銃に指紋残してもうたし。なんか疑われたりしないのかな〜。
アーミテージ家が違法な手術をしていた証拠も燃えたし。。
まあ、そこから先は考えない方がいいかな笑。
んー、でも、アーミテージ家の父母弟は殺してるけどね笑。正当防衛だけど。


クリスの親友のロッドがほんま救いの存在やった。
終始不気味な中に少しの軽やかさ。
リル・レル・ハウリーが好演。話し方めっちゃ知ってるて思ってたら、フリーガイか!
信頼できる親友役似合うな〜。

手術を受け、身体を乗っ取られた黒人を演じた3人の演技も凄くよかった!
おばあちゃんに乗っ取られた女性、途中の笑いながら涙流してる表情がマジすげえってなった。中に本物が囚われてるってのが伝わってきた。
涙からタスケテって声が聞こえてくるようやったもん。
おじいちゃんに乗っ取られた人、正気に戻って最後自殺したの辛かった。また乗っ取られる前に…てことやんね。。つら。。

主演のダニエル・カルーヤ、ブラック・パンサーのウカビだー!ってなった笑。

あと、アーミテージ家の彼女の弟を演じたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。
バリー・シールとスリー・ビルボードで妙に印象に残る役者さんだなと思ってたら、ここにも。なんか奇妙な魅力がある人。X-MENの若手でも出てたね。


ジョーダン・ピール監督はコメディアンなんやね。
皮肉や風刺をこういうタッチで描けるセンスは、ユーモアからって感じがしました。
ゆかちん

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