ケンジモンデン

ゲット・アウトのケンジモンデンのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
4.7
【「ゲット・アウト」がクソ面白かった件。】

「ムーンライト」「ドリーム」「フェンス」と、黒人を主人公にした映画が今年は多いわけですが、(前回のアカデミー賞の影響もあるのかな)その中でもこの「ゲット・アウト」のレイシズムをテーマに爽快にぶっ飛んだストーリー展開は他に類を見ない面白さです。
面白ポイントを3つにまとめました。

①「ゲット・アウト」このタイトルからすべては始まってる。
「出ていけ!」パーティーにいたなんだか不気味な黒人にフラッシュを当てた瞬間、その黒人が鼻血出しながらいきなりクリスに浴びせるこの言葉。あー、あの目、怖かった。一見すると白人社会から疎外されていく黒人への心ない一言。でも、終わった後にはこの言葉の印象がガラリ変わります。なんてこった。

②「黒人差別」の始まりとは。
レイシズムの歴史は深く映画も多数作られてはいますが、それを追っていくとき、その始まりは単純な色の違いからではなく、白人の黒人に対するある種の劣等感からかもしれないと思うことがあります。音楽だったりスポーツだったり、自分より優れた人間が現れた時、羨望や嫉妬を隠し、何か理由を見つけてその人間の価値を下げさせようとする感情は、人間の奥底にある見たくない部分です。しかし、この映画の面白いのは、そうじゃないところ。この家の「何かがおかしい」は、そこの部分をひっくり返すのです!

③てかいやほんとみんな怖い
冒頭から怖いし、パパもママもお兄ちゃんも家政婦さんも使用人さんもパーティーの人たちももうなんなら主人公以外みんな怖くて人間不信。お願いだから暗闇から走ってくんなよ!!!最後まで信じられるのは犬のシドだけだった。


監督デビューとなったジョーダン・ピール。製作・脚本・出演もしてたコメディ映画「キアヌ」も超猫カワイイ&面白いです。おすすめ。今後に期待です。
これはでもアメリカではどう見られるんだろう。ひとつのエンタテインメントであるとはいえ、いまだ蔓延るイヤ~な部分をえぐられてるのかな。。
そんなことも考えつつ、ラストはスカッと、しかし鼻息はおさまらず。最後にたたみかける系のジェットコースタームービー。楽しかったー。