シネラー

ゲット・アウトのシネラーのレビュー・感想・評価

ゲット・アウト(2017年製作の映画)
3.5
『アス』のジョーダン・ピール監督
初監督作品であり、
アメリカの人種差別を風刺した
絶妙なサスペンススリラーだった。

サスペンス要素は催眠術といった
突飛な部分はあるものの、
登場人物達の台詞や行動に
全て合点がいくようになっている事が
すごく良かった。
ホラー的な怖さよりも
その奇っ怪さが印象的な作品であり、
泣きながら笑う使用人の場面が
象徴的だった。
真相が明らかになった後の
主人公クリスの反撃には、
鬱憤が解放されていくようで
残酷さを感じつつも、
一種の爽快感を感じてしまうのは
不思議な部分である。

黒人への人種差別が色濃く
反映されている本作だが、
その意味では嫌悪感を抱いて
本作を嫌いに思う人も
いなくはないと思った。
結局、その人種差別自体への応えや
希望を持たせる内容にも
なっていないので、
その点は個人で
見つめ直して考えなくてはいけない
事なのかと思った。

物語は安堵感ある結末を迎えるが、
映像特典で収録されている
没案のエンディングでは
真逆で救いのないものとなっている。
正直、没案の方が差別への理不尽さを
痛感させられる内容となっているので、
結末の変更は仕方がないとはいえ
残念に思えた。

人種差別という
シビアな内容を描き、
サスペンスとしても纏まりある
秀逸な作品だった。
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