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13th 憲法修正第13条のrkasaiのレビュー・感想・評価

13th 憲法修正第13条(2016年製作の映画)
4.2
奴隷解放から現在までのアメリカにおける人種差別、とりわけ黒人への差別についてまとめられている。

とても考えさせられる。

まず事実として衝撃的だったことは、生涯刑務所に投獄される可能性を数値にすると、白人の場合は17人に1人なのに対し、黒人の場合は3人に1人ということ。これじゃ、自分が黒人だとしたら友人のほとんどじゃん。

また、全米人口のうち黒人男性はたったの6.5%にもかかわらず、全受刑者の40.2%を占めているそう。これも明らかに比率がおかしい。

それもこれも歴史的な背景が影響している。奴隷解放宣言が宣言されても差別が続いてきたことは周知のことだが、ニクソン当時に麻薬対策としてすり替えられ、レーガンからは麻薬対策の実行が強化されていき、しまいにはクリントンは刑の執行を強化していく。つまり、巧みに法を遵守する法治国家といいつつ実際には人種のバイアスが続いている状況のようだ。

それに伴い、刑務所の収容数は莫大に増えつづけ、刑務所ビジネスが大きな産業となっていく。また、当時奴隷が「使えなくなった」替わりに、受刑者を無料の労働として使うようになるなど、もう資本主義、そして民主主義の土台が成立してないんじゃないかと思ってしまう。

刑務所の民主化と一大ビジネスについてはほかの番組でも知っていたが、歴史的背景がこんな状況だったのか、、と愕然とした。また、もっと人種もさまざまだと思っていたし、労働搾取というイメージもなかった。

また、ロビイストも問題だと思った。企業が団体経由で自分たちに都合の良い法律をつくるように働きかけられる。となると、「強い」ものが強くなりつづける仕組みを合法的に支援しているよなと。そりゃ、ルールつくれる側の方が有利な訳だし、一方で別に勝ちつづけることが悪いのかというとそういう訳でもないのだが、人として弱い者を助くという美徳を追究することはないのか、ともやもやしてしまう。

などなど、いろいろな人に知ってほしい現実と思いました。
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