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大殺陣のHKのレビュー・感想・評価

大殺陣(1964年製作の映画)
3.7
『十三人の刺客』に次ぐ工藤栄一監督の集団抗争時代劇の第2弾。
脚本も『十三人~』と同じく池上金男(池宮彰一郎)、ジャケはカラーですがモノクロ作品。
『十三人~』と本作と『十一人の侍』で工藤監督の集団抗争時代劇3部作とされています。
本作で描かれるのは、4代将軍・徳川家綱の時代、その弟綱重の暗殺テロ。

この“集団抗争時代劇”は、東宝の黒澤作品『七人の侍』や松竹の『切腹』などリアルな時代劇の影響を受け、東映がそれまでの勧善懲悪の明朗時代劇からの脱却を図り、時代考証重視、新たな殺陣を目指した新路線。同じく池上脚本の『十七人の忍者』が走りなんだとか。

冒頭からの緊張感を経て、ラストの集団による殺陣は『十三人~』と同じく30分越え。
引きの長廻し、画面のあちこちで同時に繰り広げられる敵味方入り乱れての殺陣が圧巻。
スター俳優が華麗な太刀さばきで何人もの敵を一瞬で倒すような描写は皆無で、敵味方ともに血と汗と泥にまみれての大乱戦。
ただし引きの画面では数で劣勢のテロメンバーを見失いがちなので要注意。

主演はテロリスト側の首謀者が安部徹、実行チームは里見浩太朗、河原崎長一郎、大坂志郎、稲葉義男、山本麟一、砂塚秀夫ら。
それを阻止せんとするお上の悪だくみチームのトップは大友柳太朗、大木実ら。
それに意表をつく役どころの平幹二郎など。

『十三人~』に比べればテロ組の数が少なくメンバーを把握しやすいハズですが、それでも砂塚秀夫なんかはいつ退場したのか不明。
大坂志郎の計画結構前の家族たちとのお別れが痛ましく印象的でした。
HK

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