わさび

リプハーゲン: オランダ史上最悪の戦犯のわさびのレビュー・感想・評価

4.1
第二次世界大戦中、数多のユダヤ人を巧みに騙して私財を巻き上げてはガス室送りにしていた実在のオランダの戦犯、アンドリース・リプハーゲンと、彼を追うレジスタンスとの攻防を描いた作品。

なかなか良く出来た映画だった。Netflixだけの配信では勿体ないように思う。
それにしてもリプハーゲンという男は見下げ果てた人物である。彼にはユダヤ人を迫害するだけの思想すらない(あっても仕方ないが)、ただ私利私欲の為に口八丁で戦争を渡り歩いた人間、言うなれば単なる詐欺師である。
こんなしみったれた男のために死んでいった人々の無念を思うと、全く遣る瀬無い気持ちになる。その意味では、気持ちの良い映画ではない。
然し本作では、そんなリプハーゲンの不気味さと悪賢さを余すところなく描き、戦争という傘に隠れて暗躍した悪人の所業を白日の下に晒す事に成功している。
彼は法で裁かれる事はついに無かったが、この作品によって、世界中の人々から厳しい裁きを下されているに違いない。

戦争が終わっても、それで全てが終わるわけではない。正義という名の戦いは、その後も続いたのだ。その事をつくづく実感させられる映画でもある。
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