色々と中途半端
高齢の父に代わって、男装して兵士となったムーラン(リウ・イーフェイ)の戦いと成長を描く、アクションファンタジー。
コロナ禍での公開形態の変更や、主演リウ・イーフェイの言動など本質とは違うところで物議を醸したりもしたが、ディズニーの実写化は、実写で違和感のないようにリアリティラインを引き上げるなど、非常にクオリティが高いし、予告編のアクションは見応えがあり、期待していた。
しかし、ご都合主義的なストーリーと、人物造形の曖昧さが目に付く本作は、ディズニー実写化作品の中では最低レベルと言わざるを得ない。古い価値観に異を唱える人物であるはずのムーランが、既得権益の象徴たる皇帝(いい人物として描かれてはいるが)を盲信しているかのような描き方には違和感がある。ヴィランも描き込みが足りず魅力がないし、キーとなるはずの魔女(コン・リー)の終盤の行動には、ただ呆気に取られる。
アクションは一定レベル以上の見応えはあるが、予告編以上の驚きがないのは残念。