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ザ・クライアント 依頼人のYYamadaのレビュー・感想・評価

ザ・クライアント 依頼人(1994年製作の映画)
3.4
【法廷映画のススメ】番外編
グリシャム原作④
『ザ・クライアント 依頼人』(1994)
〈フィクション (現代 / ニューオリンズ) 〉

〈見処〉
①ベストセラー作家グリシャム原作の
 「ヒューマン・サスペンス」
・『依頼人』は、1994年に製作されたアメリカ映画。日本ではソフト化した際に『ザ・クライアント 依頼人』というタイトルに改題されている。
・本作の舞台は、テネシー州メンフィス。11歳の少年マーク(ブラッド・レンフロ)は、自宅近くの森の中で、自殺しようとしている弁護士に遭遇。彼は自殺の腹いせに、マフィアに殺された上院議員の死体の隠し場所を教え、ピストル自殺を遂げた。
・「しゃべったら殺される…」と思いつめたマークは、敏腕検事ホルトリッグ(トミー・リー・ジョーンズ)の強引な尋問を受けようとしていたが、マークが全財産の1ドルで雇った、女弁護士レジー・ラブ(スーザン・サランドン)により、回避される。
・そんな中、マフィアの殺し屋がマークへ接触。マークは、レジー・ラブ信頼し、マフィアから家族を守り正義を貫く決心をする…。
・本作は、偶然自殺の現場を目撃し、ある事件について″知りすぎた″少年が過去に傷を持つ女弁護士とともに様々な利害の渦巻く社会の中で戦っていくヒューマン・サスペンス。
・1993年に発刊されたベストセラー作家、ジョン・グリシャムの第4回小説を原作とした本作は、グリシャム原作の映画化トレンドを受け。『プリティ・ウーマン』のプロデューサー、アーノン・ミルチャンがゲラ刷りの段階で原作を確認、すぐさま旧知のジョエル・シュマッカー監督に話を持ちかけ、製作に至ったもの。
・原作者のグリシャムは本作の出来に感銘。彼の大切な処女作『評決のとき』の映画化に当たっては、本作と同じワーナー・ブラザース製作、ジョエル・シュマッカー監督とほぼ同じスタッフが続投となった。

②ブラッド・レンフロ
・5000人のオーディション応募者の中から本作の主演に選ばれた当時12歳のブラッド・レンフロは、続く『マイフレンドフォエバー』(1995)にて、女性からの多くの支持を受けた。
・さらにブライアン・シンガー監督作『ゴールデンボーイ』(1998)では東京国際映画祭最優秀男優賞を受賞。日本でも一定の知名度を獲得し、PS2の最新テレビゲーム「バイオハザード2 」のTVCMイメージキャラクターに採用。「ハリウッドの若手人気俳優による日本のCM出演」が話題に。
・しかしながら「森で吸ってたのは、ヤクじゃないわよね?」本作序盤のセリフを他所に、私生活は問題が多く、1998年の薬物所持で逮捕以降、幾度も悪行を繰り返し、2008年25歳にてヘロインの過剰摂取により急死。リバー・フェニックスを彷彿とさせる儚い人生を送っている。

③結び…本作の見処は?
○: グリシャム原作、監督は『バットマンフォーエバー』のジョエル・シュマッカー。出演は、前年に『ハリソンフォード/逃亡者』にて、アカデミー助演男優賞を獲得したばかりの トミー・リー・ジョーンズ、本作でノミネート、翌『デッドマン・ウォーキング』にてアカデミー主演女優賞を獲得することになるスーザン・サランドン…。ヒットメイカーたちが参加する90年代中盤のトレンド・サスペンス。
○: 気に入らない刑事にピザ20人前をイタズラ注文するなど、相手を先取るブラッド・レンフロの悪ガキっぷりが心地好く、少年が持つ色気を感じることが出来る。
▲:佳作ではあるものの「ヒューマン・サスペンス」を謳う割には「ヒューマン」も「サスペンス」も足りない。また「弁護士もの」の特性は「証人保護プログラムの申請」くらいで、すべて薄口な作品。
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