イチ

光のイチのレビュー・感想・評価

(2016年製作の映画)
3.8
過去に大きな罪を犯してしまった。
離島暮らしだった幼なじみたちは25年後、少しそのことを引きずっているものの普通の生活をしている。ある日そのことを知る幼なじみが脅迫しに来る…

冒頭のテクノ音楽と赤い椿が印象的。
場面展開で流れるテクノ音楽は賛否両論ありそう。個人的には好きですが。
邦画独特のじめっとした所がありますが、日本人だからこそその心情などを深く考えてしまいますね。
不倫、強姦が起きた時に身内や恋人はどんな反応をするのか、当事者の気持ちはそれを踏みにじるものなのか。

見た後に「いい映画を見た」という感想を持ちにくいですが、やはり感動したり成功する終わり方だったり、いい過程で進んでいったりするお話に比べるとそういうプラス印象は少ないです。


淡白でどこか無機質な役柄は井浦新に合っている。
不倫されてその後に不倫相手と会い、挑発されても「だからどうした?」と受け流す。
それだけに、豹変した時はびっくりしますね。
ビールが毎回サッポロ黒ラベルなのは何か意味があるんでしょうか。

暴力に暴力で返した時、人は人でいられなくなる…
やられたからやり返した過去を持つ2人は、幸福でも不幸でもない、ただ生きているだけとなってしまった。
やり返さなければよかったのか、しかしあの場面ではしょうがなかったか。


「悪いのはあの島 そんなことにいいも悪いもない 俺たちが生まれた時からあの島は腐ってた」
幼なじみの言葉が印象的だった。
生まれた環境の良し悪しは量れない。


終盤がちょっと無念すぎて、そこはテクノはいらなかったかな。
日々を無機質に生きる人々、普通に生活するけど、沸点を超えると何をするのかわからない。

井浦新と瑛太の離島少年コンビの設定がかなり深そう。人を選ぶ作品ですが個人的には嫌いではなかったかな。
イチ

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