Otun

透光の樹のOtunのレビュー・感想・評価

透光の樹(2004年製作の映画)
3.8
映画はもちろん好きですが、映画の話をするのがまた好きです。
私は人生で出会う人々に、機会があれば、あなたのおすすめ映画は何か、あなたが最近観て面白かった映画はどれか、あなたの人生ベスト映画はどの傑作か、など、ぐいぐい聞きます。
だって、その人の好きな映画でその人の輪郭をよりはっきり捉えられる気がするし、またよりその人を深く知れる気もする。

「透光の樹」。
これを勧めてくれたのは、何度かこちらフィルマークスのレビューで紹介した、私の後輩。
その日はその後輩と二人で飲みに行く予定でした。
互いに仕事や用事が早く済んだので17時くらいに渋谷で待ち合わせました。
まだ日も高い。よし、飲む前にTSUTAYAでも行くか。そして、互いに、相手へオススメの映画をプレゼンしよーではないか。そして、その後は映画の話に花を咲かせ、多いに飲もうではないか。

TSUTAYAで作品を物色しながら後輩が私に聞きました。
『Otunさん、今の気分はどんな感じですか。どんなジャンルの気分ですか?』。
優秀な奴め。
己の好きな映画をただただ乱暴に勧めるそこら辺の童貞と彼は違う。先輩である私の今の気分を聞き、かつ、その気分、要望に合う映画を己の知識の中からそっと検索する。

『そーやねぇ、今日は重いのは嫌だから、ライトな奴。コメディとかがいいかな』。
『なるほど。ちょっと待ってください。じゃ、エロはどうですか?エロにしますか。エロにしましょう』。
『あ、いや、あの、エロじゃなくて、コメデ、、』
『これにしましょう。エロです。観てますか?観てるわけないですよね。なんせ秋吉久美子です。エロです。行きましょう』。
と、むちゃくちゃ乱暴に押し倒された。凌辱。での鑑賞。

作品は、永島敏行と秋吉久美子の中年の恋の物語。
いや、恋、ってかセックス?いや、愛?これが、愛なのか、分からん。なんやこれ笑。
何れにしても、熟女秋吉久美子さんの逡巡のない脱ぎっぷりは見事。
あとは、なんと言っても恋するこの男女の会話、台詞のセンス。
増村保造的世界観?、とにかく笑える。笑えた。
ん?あら、これ、コメディか。

なんだよ、アイツ、ちゃんとコメディ勧めてたのか笑。

※採点は、秋吉久美子さんの女優魂と台詞のおもしろさがほぼ大半を占めております。
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