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先生! 、、、好きになってもいいですか?の328のレビュー・感想・評価

2.9
少女漫画という漫画ジャンルがあって、それは少女が主人公という条件ではなく、また少女向けに描かれている訳でもなく「少女を対象とした漫画雑誌に掲載されている」という括りだと思います。少年漫画もそうでしょう。

ところで少女映画というジャンルは(おそらく)ありません。少年映画も然り。
少女漫画を原作とした映画は「少女漫画の実写化」と呼ばれるだけです。
それでも邦画において古くは「はいからさんが通る」や「花より男子(内田有紀版)」があり、ある時からひとつのジャンルとして確実に定着した「少女漫画の実写化」。更にそれらしき小説を原作とした映画も加え「少女映画」と勝手に呼びます。

このジャンル、テーマや物語の良し悪しとは別にアイドル、または若手俳優の登竜門であり見本市的位置付けとなっており、2、3作主役を務めた暁には所謂、大作の主演に抜擢されます。サブキャラ(主人公カップルの仲間うち、また恋敵)を務めた後、少女映画の主役を射止めるキャリアもあります。
そんな感じなので、あの映画のヒロイン役と別の映画の王子様役がこの映画ではカップルに、なんてことは数えきれないほどあり、まあまあ混乱します。
(全て自分の主観です。この後に書くことも。)

このジャンルを確立させたのは、おそらく2005年の「NANA」。そこから「のだめカンタービレ」「花より男子(井上真央版)」といったテレビドラマの劇場版があたり、2010年代には隆盛を極めます。
女性では本田翼や永野芽郁らが活躍し、その中でも広瀬すずと土屋太鳳がツートップとなります。男性ではジャニーズの面々に加え北村匠海、山崎賢人が出まくりです。とにかく、その時期は一定の俳優陣が座組を少しずつ変え色んな映画の相関図を描いていました。

因みに自分がこのジャンルで衝撃を受けた作品は「陽だまりの彼女」。2013年、小説原作の映画です。
レンタルDVDにて観賞中、気を抜き過ぎていたのか物語の核となるとある設定が明かされた時、その衝撃に度肝を抜かれました。
「少女映画」の見どころは「恋愛という名の下ならばなんでもあり」という小っ恥ずかしくなる勢いと倫理観の崩壊具合です。世を賑わすルッキズム、セクシャル・ハラスメントなどどこ吹く風の如く、コンプレックスや学業、家族の問題に時にはタイムトラベルまで、あれもこれもが惚れた腫れたに落とし込まれてひと騒動が繰り広げられる。
この突き抜けた感じが強ければ強いほど良作と言えます。

で、前置きが長くなりましたが当作「先生!、、、好きになってもいいですか?」。
「ダメに決まってるだろ」のひと言で終わらせられない、なかなかぶっ飛んだ少女映画でした。

テーマ 2.9
画 2.8
ストーリー 2.7
キャラクター 3.2
音楽 2.9
豊かさ 3.0
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