怖がりの女性が、作家の家で住み込みの看護にあたることになった。
いくつものホラー小説を書いてきたその作家の住む家には、秘密が潜んでいた。
2016年のアメリカ合衆国・カナダのホラー映画。
Netflixオリジナルのホラー作品です。
冒頭のテロップで、
「ある家をくれたA・Pへ捧ぐ」
なんて詠ってしまっているので、この作品は監督のオズグッド・パーキンスの実父で、『サイコ』シリーズで有名なアンソニー・パーキンスへのオマージュなのかな?
内容は、ホラー小説家の家に住み込みで働くホスピスの看護師が、だんだんと呪いに巻き込まれてゆく。
そんな極めて古典的なゴシック風の設定です。
家系ホラーで雰囲気で怖がらせる日本的な感じがしました。
ボヤけた白い女性が何とも気味悪いです。
台詞も音楽も少なく、環境音だけが聞こえる静けさ。
映らないブラウン管テレビ。
語らない認知症の老婆。
独り言を喋り続けるヘルパーの女。
しかし、なにかしらはなにかしらで、具体的ななにかはなにもない。
絵づくりや撮影のされ方など雰囲気自体は美しいのだが、「何かあるかな?このあと起こるのかな?」と思わせつつ、家と主人公の顔を映しているだけでほとんどなにも起こらない。
おそらくホラーの歴史上、これほど物静かな幽霊屋敷映画は前例がないだろう。
定期的に主人公が何かに怖がっているが、こちらは何も怖くもないので、その温度差がスゴいです。
実にオリジナリティの高いアート系ホラーでしたが、真夜中にこんな奇妙な幽霊屋敷映画に耽溺していると、自分の人生もこうして朽ち果てていくのではないかと一抹の不安に駆られる一作でした。
手っ取り早く驚きたい人には、不向きな一品かもしれませんが、ビックリ一辺倒のホラーに飽きたときはちょうど良いかもしれません。
正直、肝試し以下の恐怖を描いたホラー映画だったので、私はずっと眠かったです。