ふじこ

アフリカン・ドクターのふじこのネタバレレビュー・内容・結末

アフリカン・ドクター(2016年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

フランスで医師の資格を取った黒人男性が、黒人が一人もいないフランスの田舎町に常勤医師として出向くお話。

小さな田舎町故に、主人公セヨロ一家が引っ越してきた途端町中の人が好奇の目で遠巻きに眺める。
個人的にフランスは差別大国の一つだと思っているのでそうだろうなと思いながらも、子供の教育の為故郷へ戻らず町に馴染もうと奮闘するセヨロやハッキリした物言いで物怖じしない態度を見せながら本当は心細くて寂しい奥さん、同じく黒人が一人もいない学校で孤立する子供達を見て悲しい気持ちになってしまった。

よく田舎は排他的だとか言うし、日本でも秋田の村で嫉妬で嫌がらせをして医師を追い出し何度も無医村になっている村とかがあるけれど、医者が居なくて一番困るのはまさにそこに住んでいる自分達だと言うのに、"信頼を得る事の難しさ"とは別のベクトルで既にある拒否感をどうするのかと言う事に焦点が合わさる。
ただ家族と共に医者の居ない村に移り住んだ、と言うだけなのだけれど。

しかしそれでも、人種差別としてはライトに描かれている方だと思う。ただただ遠巻きにされ、誰も診療所に来ないだけ。
唯一味方してくれた農園のお爺さんが心に沁みる。
大量に現れた親戚が黒人のノリで色々あって微妙な立場になったりしつつ、それでもセヨロ自身の努力とタイミング、娘のやりたい事をやる意思やなんかで少しずつ馴染めて行って、あくまでライトな描き方故に少し悲しく、少し楽しく、スルスルと観られてとても良かったなあ。
良い映画だった。
ふじこ

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