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アフリカン・ドクターのとらものレビュー・感想・評価

アフリカン・ドクター(2016年製作の映画)
3.2
1970年代、コンゴ出身でフランスの医師免許を取得したザントコは妻と子供達を呼び寄せるが、そこはパリからだいぶ離れた田舎町だった。

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白人しかいない小さな農村に黒人一家が暮らし始める話。差別に苦しむなかなんとか医師として認められようと奮闘する。重い設定で重い話なのだがコメディ映画である。しかもこれ実話らしい。

IMDbとかwikiを調べるに製作に関わってるのがカミーニというひとらしくこの映画の主人公の息子さんだった人だ。2006年に田舎町のラッパーとして活躍し始め、フランスでは有名なひとらしい(吉幾三みたいな感じ?)。その流れでこの映画を作ってる、らしい。

冒頭、現在視点の成長した長男が現れるのは多分そういうわけである。フランス人的にはあのラッパーの育った時の話ね、て感じなんだろう。

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実話としてパンチがないとディレクターやプロデューサーに判断されたのか結構無理のある町長選挙プロットとサッカープロットがねじ込まれている。あんまりうまくいってないコメディと相まり実話映画という良さが完全に損なわれてるように思われた。

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キャラを追うような映画でもないのかもしれないが、登場人物たちの問題の元凶は主人公である父が妻に了承を取らず勝手に呼び寄せてることである。そりゃ奥さん不満だと思うわ。コンゴで最上流階級になれた人なのだ。アフリカやアジアの「泥棒政治」を行っている政治家は桁外れの金持ちである。コンゴのモブツ大統領は5000億円の私服を肥やしていたそうだ。この主人公はその主治医になれた。旦那さんの心意気は素晴らしいけどそれを相談もせずに一方的に決めてしまったのだ。よくこれですんでるというか。逆に言うと旦那さんどんだけ高潔な人なのか、という。そりゃ口では泥棒政治の片棒担ぐやつなんか最低だと言えるけどありえないレベルの出世を捨て国を捨て言葉を捨てってそんなのできる人滅多にいないと思う。そういうところは残念ながら映画からは見えてこない

泥棒政治を調べてるうちにカダフィ大佐は13兆円の資産を持ってたとか読んでドン引きしました。働くとは一体。
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