ずどこんちょ

亜人のずどこんちょのレビュー・感想・評価

亜人(2017年製作の映画)
3.4
死んだらすぐ蘇るという特殊再生能力を持つ新生物の"亜人"。
政府の極秘機関によって秘密裏に人体実験のモルモットにされてきた亜人による人類全体に対する復讐と、それを阻止する亜人による激しいバトルアクションです。

撃たれても死なない亜人同士による激しいバトルは大変見応えがありました。
たとえ対テロ作戦の訓練を積んだSATに囲まれたとしても亜人はたった一人で立ち向かいます。もしも腕を撃たれたり、致命傷を負ったらすぐに自分の頭を撃ち抜けば復活できるのです。よくゲームでもうあとちょっとでゲームオーバーになる時、これ以上あがいても時間の無駄だからと一回リセットするためにわざと死んでやり直す方法を選択することがありますが、あれと同じ感覚です。ズルい能力だなぁ。

そんな力を120%発揮しているのが、人類に復讐心を抱えた無敵の男、ベテラン亜人の佐藤です。演じるのは綾野剛。
「やぁ、永井クン…」と感情のない粘着質な声で話します。綾野剛のあの強敵感の出し方すごいです。
佐藤は亜人の能力を最大限に活用しながら人類に牙を剥きます。飛行機を乗っ取って厚労省のビルに突っ込んだり、銃を構える相手がいても当然のことながら怯むことなく前進します。
人体実験で何度も殺される日々を送ってきた佐藤。死への恐怖感みたいなものは麻痺してしまっているのかもしれません。
自分の身体の特徴を利用してのイリュージョンも、グロ過ぎるけれども驚きました。同類の亜人ですら思い付かなかったトリッキーな技も駆使しています。こういう応用技みたいなのを繰り出すのは好きです。

一方、人間側も対亜人作戦を様々工夫していて、SATは亜人が回復する前に全員で囲んで撃ち続けるという単純だけど効果的な作戦を遂行しますし、亜人に対して何より効くのが戦力を無効化させることであることから麻酔弾を撃ち込みます。
とは言え、麻酔が一発撃ち込まれても死なれたらリセットされるので、そう簡単には亜人を倒すことはできません。

そして何より、そんな亜人を更に強敵たらしめているのは、亜人特有の謎の分身の存在です。
化け物じみたスピードと怪力を持つこの分身は、宿主の亜人を守ったり、敵と闘ったりと大活躍です。永井と佐藤の最終決戦でも、永井とその亜人の素晴らしいコンビネーションも見られて気持ち良かったです。
ただ、こいつら一体何なのかは作中でよく分かりません。亜人の内部から生み出された謎のエネルギー体なのか、はたまた人類を新たなステージに引き上げる宇宙生物的な存在なのか。実際のところ敵なのか味方なのかも分かりませんが、たとえ相手を眠らせてもこの幽霊が宿主を殺して復活させたりもしますし、とりあえずこの生物がいることで亜人との対決は更に一筋縄ではいかないように遥かに難易度が上がっていました。
使い勝手の良い強力な相棒です。