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スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー/純愛日記のtetsuのレビュー・感想・評価

3.7
ロイ・アンダーソン監督に興味があり、最新作の公開に合わせて、鑑賞。


[あらすじ]

少年少女の恋と、彼らを取り巻く大人たち。
不思議な後味を残す青春ラブストーリー。


[概要]

ロイ・アンダーソン監督の長編デビュー作。
初公開時は『純愛日記』というタイトルで、20分の短縮版が『小さな恋のメロディ』と同時上映。
2008年の『愛おしき隣人』公開に合わせ、完全版の『スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー』が公開された。
なにげに、『ベニスに死す』の美少年・ビョルン・アンドレセンさんのデビュー作でもある。


[感想]

いまや「固定カメラ」と「白塗り役者」のイメージが強いロイ・アンダーソン監督が、そのどちらも使わずに制作した青春ラブストーリー。

それゆえ、後の作品を観たうえで鑑賞すると、シンプルな劇映画として完成された内容に驚く。

しかし、序盤こそ、マセた中学生たちの甘酸っぱい恋愛ものを描いておきながら、次第に群像劇のような展開になり、惨めでおかしな大人たちが登場する内容には、監督の一貫した作家性を感じた。

冒頭におけるタイトルの出し方やラストカットの間が独特で、「人生の悲哀」や「ろくでなしで溢れた世界」を語る大人たちの存在が、いかにも、監督の原点と言える一作だった。
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