みむさん

家庭生活のみむさんのレビュー・感想・評価

家庭生活(1971年製作の映画)
3.8
ケン・ローチの作品の中でもかなり凹む作品だった。まったく希望がない。希望が見える兆しすらない。

BBCのドラマシリーズ「The Wednesday Play」の1つ「In Two Minds」のリメイクらしいと見終わってから知った。

自由奔放に生きるジャニスはアーティストのボーイフレンドの子供を身ごもるが超保守的な両親に反対され……

働く意欲もさほどなく、両親には病気だとされ軽蔑され、新たな居場所や心の拠り所はボーイフレンドとカウンセラーぐらいだったと思うが、その拠り所となる二人さえ両親のの前に出来ることは限られてしまうのがキツい。

両親はあれでも良かれと思って娘を改心させようとしてるのか。中絶を迫られ、精神病院に送られ、皮肉なことにジャニスの状態はさらに悪化していく。

ジャニスの生き方は精神異常とみなされ、一旦そうなるとその否定的な見方がさらに増幅していく負のスパイラルつらすぎ。

たぶん、ジェニスの妊娠がなくても家族は崩壊していたかもしれないが、妊娠が崩壊を加速するスイッチになってしまったようだった。

人生の失敗例のように晒される残酷すぎる終わりかたに呆然。
終始陰惨な気分のまま見終える映画。