ある出来事をきっかけにホームレスになっていく若き夫婦の姿をドキュメンタリータッチで描く、ケン・ローチ監督作。
BBCのドラマシリーズ「The Wednesday Play」の中の一本として製作されたTV映画らしい。
政治や社会がきちんと機能していないと誰に起こってもおかしくない転落物語で、他人事ではないなと思いながら見ていた。
退屈な田舎を離れ都会でレジと恋に落ちて結婚し子供が出来たキャシー。そこまでは希望に満ち溢れた二人だった。
しかし、賃貸住宅は子持ち夫婦の居住を認めず、夫は事故で仕事を失い、収入は途絶え住居も定まらなくなってしまうという。背景には不況や住宅不足もあり。
ほんと他人事ではない話。福祉を充実させようと表向きには対処してるように見えたとしても、末端市民までは見えていない。制度の隙間からこぼれ落ちる人たちには気づいていない。
手を差しのべてくれる人もいるが、それがずっと続くわけではない。
いろいろな所に制度の歪みあり、一度貧困に陥ると抜け出せないスパイラル。
シェルターがあっても偏見と差別の標的になり……
個人の努力ではどうにもならない状況、こういう時こそ政治がしっかり基盤を作らなければいけないのに。
自業自得とは言いきれない。キャシーの怒りもわかりすぎるが、その怒りさえ虚しく響く。
ホームレスになった親と引き離される子供たちの多さを知って愕然。
ケン・ローチだから厳しい現実を見せられるのは分かってたがそれにしてもツラい。