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狩場の管理人のnagashingのレビュー・感想・評価

狩場の管理人(1979年製作の映画)
3.5
ヨークシャーのリアルなカントリーハウスの営みがうかがえる映像がたまらない。この凋落した建物をつうじて、階級社会を時代錯誤なものとしてとらえ直す視点はたしかにおもしろいが、その錯誤にこそ強く魅了されてしまった。いかにもイギリスらしい曇り空の下、美しい自然と野生動物たちに囲まれたアナクロな暮らしが尊い。ドキュメントそれ自体の強度のまえにメッセージ性がかすんでしまう。
映画の後半で主人公が着ているのはバブアーのオイルドジャケット。いま日本でおしゃれな街着として人気のこのアイテムを、ほんとうに作業着として(しかも狩猟に従事するために)羽織るという「本物」のいでたちには感動。1970年代にキジ狩りに興じる貴族たちがスノッブにしか見えないのとは対照的。
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