イチロヲ

白いふくらみのイチロヲのレビュー・感想・評価

白いふくらみ(1979年製作の映画)
4.0
倦怠期の夫婦生活に喘いでいる中年男性(山下洵一郎)が、勤務先に配属されてきた女性(日向明子)に心惹かれていく。伴侶のことを異性として見られなくなった妻帯者の性意識を描いている、日活ロマンポルノ。川上宗薫・著「女性」を原作に取っている。

不倫の背徳感と高揚感に中毒性を見いだした夫の言動をメインに扱っている内容。女性の娼婦性に充足した性生活を求めるという、谷崎潤一郎にも似た要素が盛り込まれており、「男女間の化かし合い」が表現されている。

志麻いづみを相手にした主人公が強迫観念に苛まれるシーンと、相手を日向明子だと思い込みながら行為するシーンが出色。中年男性を手玉に取る、日向明子の小悪魔ぶりが説得力抜群。

男優陣では、丹古母鬼馬二がのらりくらりと絡んでくるところが面白い。局部が修正されているエロ本を憎らしげに眺めながら、「日本は遅れている!」と言い放つシーンが最高。「セックスは男と女の心理戦である」を地で行く、ポルノ映画の模範的作品。
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