糸くず

アウトレイジ 最終章の糸くずのレビュー・感想・評価

アウトレイジ 最終章(2017年製作の映画)
3.7
観たあとに思い出したのがジャームッシュの『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』だった。映されているものは全く違うけども、老いから来た倦怠と頽廃と死のムードが身に染みるものとして迫ってくるのが似ている。

前作で「もう疲れた」と弱音を吐いていた大友、今作でもなんだかんだで大暴れをしてくれるが、威勢のよさはまるでなく、粛粛と殺しを実行していく様は死に支度のようにも思えたのだった。

役者で印象に残るのも、名高達男や池内博之のような元気のいい人たちではなく、病み上がりの塩見三省や大友の片腕として行動を共にする大森南朋のような棺桶に片足突っ込んでいてもおかしくなさそうな人たちなのがおかしく、西田敏行に至っては生きたまんまだと威勢がよすぎるのでゾンビとして登場する念の入りよう。

車内の銃撃戦で大友が誤って部下(本宮泰風!)を撃ち殺してしまうのを平然と撮ってしまうあたりの暴力を描くときの腰の据え方も見事で、「北野武の映画は武にしか撮れない映画だなぁ」と感じ入ったのだった。
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