好き勝手なてそ

拷問男の好き勝手なてそのレビュー・感想・評価

拷問男(2012年製作の映画)
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ずっと気になってたけどやっと初鑑賞。結構思ってたのとは違う意外な雰囲気だった。

■あらすじ
主人公デレクにとって、元妻に引き取られた愛娘ジョージアに会える週末は生きがいだった。
ある日、妻からジョージアの行方がわからなくなったと連絡をうける。警察の無線連絡を聞いて海岸へ向かうがーーという話。

■ざっくり感想
まず、意外にもタイトルやパッケージのわりには狂った映画ではなかった。(個人的には)

「ホステル」とか「変態村」とか、そういう頭のイカれたやつらが血の見たさや性癖で何かする映画かと思ったら、
わりと普通のまっすぐなストーリーでした。
もちろん狂った映画でもよかったんだけど、変態ではないぶん思いのほか見やすくて面白かった。
だからこそ他の方々もおっしゃるように、邦題とパッケージ?ポスター画像はミスしてる感じがする。
もっとどうにかならなかったのか?

拷問はちゃんとやるので、痛々しいグロシーンはしっかりあり。
でも何か他で見慣れたせいかもだけど、ぐちゃぐちゃ〜な感じはなくて、拷問され側のリアクション命な雰囲気だったので、私的にはそんなにきつくはなかった。
「テリファー」とか「ホステル」「グリーン・インフェルノ」あたりのほうがグロさはきついと思う。

ストーリーは超シンプルなので、展開は先読みしやすい。
拷問する側にぎりぎり同情するかもしれない珍しいタイプの作品。

いくつか惜しいというか謎なところもあったので、下に記します。


ーー以下ネタバレ含みますーー


■妻の人間性が微妙で惜しい
離婚したデレクたちの深い溝によってさらに事件を起こしやすくしたと言っても過言じゃないわけだけど、離婚の理由もあまりわからないし、娘のジョージアは親権を与えられなかった父デレクのほうにむしろ懐いていたように見えたので、妻については良いところが見えず映画としても惜しいなぁ〜と思った。

ラストシーンでデレクは「殺人犯を2人にしない」といい観念するが、あのセリフは自分の両親に対して気遣ったものなので、
失われた子供の命をめぐってやはり「家族の絆を思い出して」的なテーマにしたいのか?とも思ったけど、窓の修理を頑なにしなかった妻とは仲違いしたままだったので、妻とのストーリーをもう一歩見たかった感じはした。

■犯人わかりすぎて惜しい
ストーリーがあまりにまっすぐすぎて、グロ重視でいかないならもっと深いサスペンスが見たい感じがした。
トミーが犯人なのも、観客全員がまず一番最初に怪しんだやつが犯人だったというだけで、犯人に気づいてないのはもはや登場人物たちだけなので、
デレクがトミーが犯人だと気づく回想シーンもちょっと長めだったし、もっとサスペンスドラマ的な要素で作品の深みを見たかったなぁ。

■なぜコリンに見せた?&逃がした?
デレクはトミーにいたぶられた子どもたちの逆襲をハンムラビ方式で拷問としてやってきたわけだが、もう少しでジョージアの分の逆襲というところで仕事の同僚のコリンに拷問部屋を見せてしまう。これはかなり驚いた。

警察が来たあとでトドメをやめたのは「殺人鬼を2人出さない」でぎりぎり理解するけど、なぜまだ誤魔化せたはずなのにコリンに見せてしまい、また両親に電話しろと命令して外に行かせたのか激しく謎だった。

本当はすでに心のどこかで、やはり相手は弟だし、自分はかわいがってきたと思っていたから(クビもデレクが言い出したことではない)、誰かが止めてくれないかと期待してたのかな。
自分で止めるとジョージアが浮かばれないから、でもジョージアとトミーを天秤にかけられなくて阻害してほしかったのかも…?


■面白かったところ
(1)トミー普通に叫んでる
個人的にツッコミどころだなぁと思ったのは、
喉にストローみたいな管をぶっさしてたけど、途中から普通にトミー叫べてるし、最後は「叫ぶのを聞きたい」みたいなこと言って管を塞いでいたし、めちゃくちゃ誰かが気づきそうなフラグ立てるじゃんと思って別のヒヤヒヤをした。(結果気付かれはしなかったけど)
でも上に書いてたとおり、管を塞いだのも気づいてほしかったのかもと今書きながら思い始めた。

(2)ひざ破壊、痛くなさそう
膝を破壊する工具か全然痛くなさそうで、なんなら使い方ってその向きなんだ!?という驚きがあった。ぷるぷる横回転させててちょっと笑った。
でも頭にとめてたトゲトゲもあまり痛そうに見えなかったし、直腸有刺鉄線は斬新だったけどあれを引っ張るときってだいたい肝心の部分は見えないので(当たり前か)、トミーも正気保ってるし案外痛くなさそうだったのが残念かも。


おじさんが殺されかけてるのをのんびり警察に教えるジョージア、かわいかったな。