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WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩のNのレビュー・感想・評価

WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩(2017年製作の映画)
4.9
BIS誕生の詩とこれを見て初めて完成するという構成に感動してしまった。勝者と敗者という構造を、渡辺淳之介と清水。そしてBISとSISという対立構造で描く。そして最後は清水対皆。

BIS誕生の詩の伏線回収的な要素。盛りだくさんでクラクラしてしまった。消費されていると思っていた女の子達が消費されまいと奮闘する姿にもハッとさせられたし、それさえも狙って作り上げているのだとしたら恐ろしい。

圧倒的なカリスマ性を持つ渡辺という勝者とその高い壁に押しつぶされた清水という1人の男。社会の縮図という感じがして苦しかった。
終盤の謝罪する場面で、どこまでいっても渡辺淳之介がかっさらっていくあの現実。清水の丸坊主と負け惜しみの独白が凄く生々しい。劣等感と嫉妬と悔しさ。それって前作でのSISとも重なるんだよな。それと同時にオタクがSISを推すように、敗者という存在はどうしても嫌いになれない。それどころか応援したくもなってしまうのだ。
清水に対してもどうしたって同情と共感性を感じざるを得ない。

SISが本物のBISという言葉も凄く納得できるし、敗者を応援したくなる人間の本能的な部分を渡辺は掴むのがうまい。うますぎる。うますぎて恐怖を感じる。化物って感じ。
そしてエンターテイメントを作り出す人間の恐怖と、カリスマ性、それを超える熱量をもっているのだと思った。
渡辺がSISを救い、最後SISが清水を救う様にこの絶望的な映画の中にほんの少しの優しさを見出した。
プードゥーが言っていた、[みんな不幸が好きだから]という言葉がこの映画がとてつもなく愛おしく見える理由の全て。
もはやアイドルドキュメンタリーではなく清水という敗者を主人公においた社会派ドキュメンタリー。社会の縮図ですね。
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