うみぼうず

私はあなたのニグロではないのうみぼうずのレビュー・感想・評価

4.5
下書きで感想書いていたのを見つけたのですが4月に観たもので、加筆などせず当時の感想をいったん投下いたします。ここまで書いてて何故アップしていなかったのか…。



作家ボールドウィンの手記をもとに過去・現在の映像を散りばめながらサミュエル・L・ジャクソンがナレーションを務める。

決して面白くはないが、当時の状況を知れる。細かな流れや出来ごとなど全て知っている訳では無い自分でも流れを理解できる。そして知れること以上にボールドウィンの洞察がめちゃくちゃ興味深い。

「現代の白人は精神的に貧しい。公的な自分と私的な自分に繋がりを持てていない」
「白人は恐れている」
「私はニグロではない。ニグロは白人が生み出したもの」

不安と恐れが生み出したという考えは、妙な納得感を与えてくれる。不理解、未知なものは誰しも怖い。しかも隣人は社会的に進出してきており、不気味さを覚えるし自分たちの居場所を奪われるのではないかと勝手に被害妄想すら感じる。人種問題は社会が生み出した必要悪なのかもしれない。

白人の教授?とボールドウィンの噛み合わない会話も象徴的な話だなと思う。黒人であるということを表面的に理解した気になっている。実際には表面すら理解できておらず、会話に違和感しかない。こうした偽善的な理解も、社会的な構造が生み出した弊害の一つであるのは間違いない。悪気は無いからこそ逆に神経を逆撫でする、善意の皮を被った悪意。アメリカ社会の人種問題は根深いなと感じさせる。
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