ーcoyolyー

私はあなたのニグロではないのーcoyolyーのレビュー・感想・評価

3.4
黒人男性の黒人男性による黒人男性のための語り口。ローザ・パークス無き公民権運動の話。イライラした。私たちのナラティヴは無かったことにされている。私はアジア人の女、有色人種の女ですからあえて「私たち」と括ってしまいますけど、これはこれで既得権益者のナラティヴでしかない。黒人女性もやっぱり彼に「私はあなたのニグロではない」と思うだろうなと。彼は彼の語る『黒人』『ニグロ』に当然女性も一緒に入ってると思っている。黒人内の断絶に気付かずに。全然違うものが見えているのに。白人が『人類』と言った時と同じ現象が起きていることに彼は気付かない。

アメリカは早くローザ・パークスの映画作れよ、と思う。キング牧師題材があれだけあるならローザ・パークスだって同じくらいのあったっていいはずなのにここでの非対称性についてはあまりにも語られず気付かれてもいない。公民権運動で重要な役割を担ったのはあの時代に華々しく叫んで華々しく散った活動家だけではない、21世紀に入るまで生きた女性だっているんですよ。そんな彼女や彼女たちのあまりにも語られなさに私は泣きそうになった。男の作る歴史には私たちはいない。この語り手が『女性』を語る時、そこにいるのは白人女性で私たちは女性というか人間として認識されていない透明な存在になる。

アメリカで黒人の問題を語る時、あまりにも黒人女性のナラティヴが足りない。公民権運動の発端となった女性がいるのに。何故こんな現象が起きているのか私にはまだよく分からないので考え続けなければいけない案件になっています。
ーcoyolyー

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