Kumonohate

若親分乗り込むのKumonohateのレビュー・感想・評価

若親分乗り込む(1966年製作の映画)
3.2
「若親分」シリーズ第4作。義理と人情の板挟みに悩むことなく、悲哀や影を全く背負わない、相変わらずの明朗ヤクザ・ヒーロー映画。もと海軍士官のヤクザという設定ゆえに、敵一味の悪行に政治や軍が絡んでくるのもこれまで通り。権力を後ろ盾に無法を働く敵対組織を批判しつつも、いざとなったら元海軍士官という立場を十二分に活用して相手を蹴散らす爽快さも相変わらず。何から何まで市川雷蔵。クライマックスでは超人的な剣さばきを見せ、たった一人で敵を全滅させしまう。そんな芸当が出来るんなら最初からそうすりゃよかったのに、それまでのエピソードの積み重ねは何だったんだ、なんて野暮は言いっこ無しの娯楽作。

時代設定が日露戦争当時ということで、京都伏見をはじめ、一応、古い佇まいを残すロケ地を選んではいるようだ。だが、しかし…。現代的建造物が映りこまないように盗んで撮ったり、小道具で飾って隠そうなどというやり方は姑息である。ハナシが面白ければそんなことは気にならない。なんていうドクトリンに貫かれていたかどうかは知らないが、高圧線の鉄塔やコンテナがバシバシ映りこむ。その潔さも清々しい。

隅から隅まで雷蔵映画である。
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