映画大好きそーやさん

夏のゲロは冬の肴の映画大好きそーやさんのレビュー・感想・評価

夏のゲロは冬の肴(2016年製作の映画)
3.1
無常な円環に生きる人類へのトリップエール。
嘔吐にトラウマをもつ私にとっては、かなり苦しい鑑賞となりました。
とはいえ、レビューするにあたって1度の鑑賞ではその気色悪さに圧倒されるばかりで、何を言わんとしているのか読み取ることができなかったため、時間を空け気持ちを整えてから2度観てまいりました。
とりあえず私のように嘔吐や嗚咽音が苦手な方は鑑賞を控えることを強くオススメしたい作品です。そのくらい延々と嗚咽音と妙に解像度の高い台詞が挟み込まれていきます。
内容としては飛び道具的なサイケデリック美術、作画のオンパレードでありながら地に足着いていて、円環的な人類の生活を認め、背中を押す、もしくは傍らで背中を摩ってくれるようなものとなっていました。
恐らく男性、女性でも受け取り方が変わるような気がしますが、根源的にはもっと広い間口が用意されているようにも思えました。
冠木佐和子のイマジネーションが爆発した一連のシークエンスを通して、食べること、食べ過ぎて吐いてしまうこと、求められること、交わって欲望のまま従うこと、痩せたように感じても、一過性で結局終わりなどなく、永遠に囚われ続ける負のループ、円環の中で生きる我々へのエールとして解釈すると、本作を観て何だこれ!?と困惑した心も癒されるのかなと考えさせられました。
いや、考えすぎかもしれません。()
他作品と比べると、1番ハードな作品(当社比)となっておりますので、ご鑑賞は自己責任でお願いします!