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博奕打ち外伝の東京キネマのネタバレレビュー・内容・結末

博奕打ち外伝(1972年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

松方さん追悼11本目。
「博奕」と書いて「バクチ」と読ませていますが、正確にいうと「バクエキ」です。そもそもは、「博奕」する人のことを「博打」と言った訳ですから、「博奕」の方が正しい言い方だった筈ですが、昭和にはあまり使われなくなりました。だから「博奕」と書いた方が明治の感じが出たんですね。今じゃ、そのニュアンスは分かりませんけれど・・・。

演者の書き出しは筆頭に鶴田浩二、準筆頭に若山富三郎、三枚目に菅原文太、トメ前に辰巳柳太郎、トメに高倉健です。松方さんは、4枚目で浜木綿子(東宝)と連名です。随分格落ちしてしまいました。

公開は1971年。実はこの作品、1967年から続いているシリーズ10本目で、最後の作品です。この翌年が、あの『仁義なき戦い』ですから、所謂正統派の東映任侠物最後の作品と言っても良いでしょう。

監督は山下耕作。やっぱりうまいね、この人。当時の東映の看板役者総出演というのもあるんでしょうが、映画として風格があります。これね、ちょっと面白いのは、所謂任侠物のパターンになっている悪役親分が居ないんですよ。だから派手な殴り込みもないし、エンドの大立ち回りアクションもなし。何が葛藤になってるかっていうと、跡目相続なんです。それで、筋を通すと道理が通らない、という話なんですね。派手な要素はないんですが、でもカタルシスはあるんですよ。

ちょっとびっくりするのは、仁義を通すのに、指詰めならぬ、腹まで搔っ捌くんですよ。それも健さんが・・・。えっ?死んじゃったらいかんだろうに、と思うんですが、明治末期なんで、もしかすると、こういう展開もあったのかもと思わせるくらいエグいお話です。

肝心の松方さんなんですが、まあ、こういうエキセントリックな役もあるとは思うんですが、なんかどうもねえ、シリーズの最後だからメチャクチャやっとけ、にも見えて、見てるだけでちょっと辛かったです(笑)
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