ケイスケ

きみの声をとどけたいのケイスケのレビュー・感想・評価

きみの声をとどけたい(2017年製作の映画)
3.8
矢沢紫音役の三森すずこさん、ご結婚おめでとうございます(唐突な祝福)。

海辺の町、日ノ坂町に住んでいる16歳の少女、行合なぎさは幼少期に祖母から聞いた、言葉に宿る魂「コトダマ」の話を信じていた。ある日、なぎさは何年も使われないままになっているミニFMステーションに迷いこんでしまう。出来心でDJの真似事をしたなぎさの声は偶然にも放送され、その言葉がある人物に届いて…。

基本、女子の一致団結ものは大好物なので、本作のような同じ目標を持った女の子たちが諦めず進んでいくアニメは大好き。キャラは主人公のなぎさと乙葉が特に好きかな。カラオケや夏祭りなどの日常パートが無声で流れますが、この辺のキャラクターのやり取りは声付きでもっとじっくり見たい。

なぎさとメインキャラの声は、正直演技が微妙なとこもありますがまだ新人の声優さんたちなんですね。この辺は仕方ないか。脇役だけど野沢雅子さんの優しいおばあちゃん声がとても良い。年相応の声を久々に聞いたかも。最近でも孫悟空の「ドリャリャリャリャ!」とか聞いてたから尚更。

話的には少し微妙な部分も。キャラクターも色んな背景があるが、90分の尺だとどうしても描き込み不足は否めない。メインキャラが7人は少し多かったかも。かえでの一人称「オレ」は今時ちょっと…。

でも最後にみんなが歌う場面はとても良かった。ここでなぎさのコトダマに懐疑的だった紫音についにコトダマが見えて、ラジオを付けたところは少し泣いた。この場面の街の人たちの一体感は素晴らしいと思う。そりゃラストは予想できてても感動するよね。なぎさの締めの台詞もとても良い。

正直本作は、題材やストーリー展開、キャラの人数的にテレビシリーズのアニメの方が向いてるかな、と思う。上手くやれば覇権アニメになれそうなポテンシャルは持ってると思います。ラジオ仲間たちの加入の話を、1話ずつじっくり描いた方がキャラクター性に更に深みが出たかもしれませんね。

少し地味な作品ではありますが、優しさに溢れていて個人的には大好きな映画でした。オススメです。