「ドラゴンの血」
先日見たレスター監督のファンタジーはしょーもない映画だったけれど、こちらはがっつり本気モードの優良ファンタジーだった。相変わらず邦題はテキトーでいらっとくるけれど、「秘密が見える少女」という副題をちゃんと入れているので合格かな。そのかわりやたら長いタイトルになってしまっている。ウィッチ、つまり魔女はヒロインのことなのだが、特殊能力があるというだけで魔法使いではない。ドラゴンも出てくるけれど、巨大なコモド大トカゲみたいな姿で、火は吐くものの空を飛んだりしない。悪玉がドラゴンの血を採取するために飼っているペットである。ドラゴンの血は、人間離れする力を与えてくれるのだ。以前、白魔術にハマっていたとき、ドラゴンの血のインクで羊皮紙に願い事を書いたりしていたっけ。ドラゴンの血とは言うけれど、ドラゴンが実在するわけはないから、あれは赤黒く着色しただけのインクだ(笑)
悪玉が王様を暗殺し、世継ぎに殺人の罪をなすりつける。よく見聞きする物語なのだけれど、ヒロインの能力の設定が斬新でときめいてしまった。「恥あかし」という字幕なのだが、正確にはどんな言葉なのだろう?この映画はデンマーク映画なので、デンマーク語はわからない。ハリー・ポッターに「闇祓い」という職業が出てくる。それを思い出した。
「恥あかし」とはどういう能力かというと、人の目をじぃっと見ると、その人が胸の内で恥じていることが全て見えてしまう、というもの。なので、彼女は村では嫌われ者で、誰も目を合わせようとはしない。虐げられている存在なのである。
そんなヒロイン、デイナという名の少女が、悪玉をやっつけるお話だ。この悪いヤツというのが、登場したとたんに悪いヤツだとわかる悪人顔で、笑ってしまった。厳密に言えば、やっつける寸前までいく展開だ。ラスト近くで「これで終わりじゃないのか?!」とわかって呆然となった。思わず字幕の入っていない予告編を見てしまった。続編は本国で去年の秋に公開されたばかりである。字幕付きで動画配信で見られるのはいつになることやら…
海辺の小王国だか小都市の描写が素敵だ。建物も小道具も衣装も、すべてかぺらぺらではなく、しっかりしている。デイナが住んでいる村は街からかなり離れているので、旅の描写も出てくる。大自然もいい感じに描かれていた。
とにかく続編が楽しみである。