アニマル泉

Mのアニマル泉のレビュー・感想・評価

M(1951年製作の映画)
4.2
ラングの「M」をジョセフ・ロージーがリメイクした。撮影は「キッスで殺せ」のアーネスト・ラズロ。助監督がロバート・アルドリッチ。白黒スタンダード、コロンビア映画。
冒頭はカットレベルまで忠実に再現されている。フレームショットが多い。しかしカメラの視点はオリジナルと真逆だ。エルザ誘拐は犯人Mの視点からショットが組み立てられる。エルザを探す母の場面はオリジナルでは母が上から覗きこんだ無人の螺旋階段で示されるが、本作では螺旋階段ごしに真下から母親を捉えている。
オリジナルと大きく違う点は次の通り。
①舞台をロサンゼルスに移している。
②犯人ハロー(デヴィッド・ウェイン)は縦笛を吹く。
③ギャングのボス・マーシャル(マーティン・ガベル)は市と賄賂で繋がり最後はMを売ろうとする
④弁護士ランブレー(ルーサー・アドラー)はギャングの仲間でアル中、最後にマーシャルの不正を暴露して撃たれる。
⑤犯人の内面が描かれる。母の遺影の前で粘土人形の首を紐で切り落とす。
⑥エルザの母の悲しみを描く。
⑦犯人は少女の靴を集めている。靴紐が捜査の決め手になる。
⑧犯人は少女を人質にして逃げる。
ロージーの演出は力強い。階段やラストの下り坂など高低差が随所に活かされている。犯人の内面やギャングの動機などが判りやすくなっている。かたや人民裁判の不気味さは後退している。犯人が逃げ込むマネキン置き場が不気味だ。
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