ネット

Mのネットのレビュー・感想・評価

M(1951年製作の映画)
3.5
Mの字が手より大きい気がするのがちょっと面白い。
粘土人形の首ちょんぱシーンは、サイコキラー内面描写としては陳腐と思わなくもない。ただ、こんなに鋭いかと驚くような暴力シーンもあった気がする。娘を連れて歩く父親を誘拐犯だと誤認した男がワンパンかますムーブの素早さにビビるし、警備員への拷問もさらりとしている分なんだか怖い。あの暴力の隠し方、なぜ『テネット』冒頭の拷問の隠し方は怖くなくてこれは怖いのか。音の問題でしょうね。
時間の使い方も不穏。チンピラ二人への尋問で、喋らない二人をじっと映しつつ警官の画面奥への動きを捉える。
ラング版のラストにあった教訓的側面は序盤のテレビ放送(知らない大人についていくな、みたいな)でさっさと済ませ、弁護人が犯人と自らを重ね合わせる情動的なラストになる。ラングの衆愚というモチーフにもふんわり触れつつ、ちゃんとロージーらしい救われない堕ちた者の話になる展開はアツい。とはいっても見てるロージー映画はまだこれで三本目なのだけど。
ネット

ネット