梅宮辰夫が兄貴分として慕われているわけがわかった。
徹底して馬鹿なことをやり、観客を楽しませるという役者魂がすばらしいからだ。特に山城新伍。怪しい関西弁でまくしたて、まさに「口からでまかせ」で周囲を丸め込む。
ノーヘルでのバイク暴走はもちろん、お約束のようにふんどし一丁になる。このチームワークの良さ。
後に『仮面ライダーV3』や『快傑ズバット』で主演を務める宮内洋も、芸能界ケンカ最強と言われている渡瀬恒彦(次作に出演)らゲストも、助演で絶妙なタイミングで助っ人に来る菅原文太(今作は『仁義なき戦い』の前、もちろん『トラック野郎』のもっと前)も、なんだか楽しそうだ。
番長は、確か春日太一の記事にあったように、実際に傷害事件で干されていた安岡力也を起用したり、本当に面倒見がよかったという。
馬鹿なことをみんなで懸命にやったという「経験」を共有した出演者たちの、「青春」を観られる幸せがこの映画にはある。