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いつも月夜に米の飯の坊主のレビュー・感想・評価

いつも月夜に米の飯(2017年製作の映画)
4.5
加藤監督は、以前のおんなのこきらいを含め、不器用な生き方しかできない人間を描かせると、本当にこの上ない上手さを持っている。
物語の始まる学校のシーン、数秒の映像で主人公の性格を説明しているところからそれは見事にはまっていてもはや気持ちがいい。
それは母親が失踪したタイミングで娘を呼び戻したり、歩もうとしている生活を崩し得る気持ちにも、何もしないどころか増長させたりするアサダもしかり。
自由に生きているように見せて何もつかめていない母親しかり。
大それた幸せを誰一人望もうとしないのに、それが全て「いつも月夜に米の飯」となる点、監督の手腕が光っている。
しかも、それだけでなくこの不器用な人間たちをぶつけさせてもなお後味爽やかに纏めた本作はかなりうまい。
つまみにして日本酒を飲みたくなる映画。
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