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ぼくの名前はズッキーニのhoshのレビュー・感想・評価

ぼくの名前はズッキーニ(2016年製作の映画)
3.9
短尺ながらグッと引き込まれた。

登場するのは大人の勝手な都合で人生を狂わされてしまった子どもたち。
けれど本作はそんな彼らを可哀想で純真無垢な存在とは描いていない。性に興味があったり、無邪気に遊んだり、恋をしたり、協力して大人に一矢報いるパンク精神があったりとみんな人間的で生命的。でもだからこそふとした瞬間に見せる寂しげな表情や涙に胸が引き裂かれそうになるんだよな。多面的な人物描写が素晴らしい。

中盤のある作戦が上手くいった後のパーティのシーンの「この時間は長くは続かない」という感覚とシモンのセリフには寂しくなってしまった。

鳥の巣、セックスの隠喩と赤ん坊、警官の過去と子どもたちの状況の反転などなど孤児院の外を感じさせる大人の演出も深みを与えていて見事。とにかくシモンよ、幸せになってくれ……
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