ルサチマ

シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳のルサチマのレビュー・感想・評価

4.2
経済性や効率性からではなく、必要最低限のカメラポジションの節約が実践されている代わりに、過剰なほどフレーム外の音響が響きわたることで出入りをする人物の導線がくっきりと想像できる。だからこそ中盤で劇場内に現れる中年男性の存在はカットが替われば可視化されず、再びカメラが替れば画面に現れてくるという霊的な切り返しによって、極めて異様な立体感を画面に施すのであり、音響的にも周りの男女は彼が存在しないかのように会話をしているかと思えば、突如彼に話しかける(且つ目配せをする)がゆえに、極めて曖昧で異様な耳心地として人物の声が響いてくる。
ルサチマ

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