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シモーヌ・バルベス、あるいは淑徳のsonozyのレビュー・感想・評価

4.0
モンパルナスのポルノ映画館『CINEVOG』で案内係をしてるシモーヌ・バルベスのある夜の物語。

映画館の入口すぐの壁際に並んだ2脚の折りたたみ椅子と小さなテーブル。壁には目の形のネオンサインが並んでる。
シモーヌは同僚マルチーヌと深夜までここで働いているのだ。

毎度の遅刻で現れた同僚のマルチーヌにキレるシモーネ。
次々と入ってくる客に無愛想に対応しながら、二人はしばし口喧嘩からの仲直り。時おり館内の映画のセリフやあえぎ声などが漏れる中、客の悪口やらで盛り上がる。
客たちのキャラと二人の対応が何とも面白いパート。

シモーヌは全身黒系で、ワンショルダーのTシャツとフェイクレザーパンツでクールな感じ。
マルチーヌは黄色のワンピースで開脚座りし(笑)、彼の浮気話で涙したり。

深夜0時を過ぎ、先にあがったシモーネは、とあるクラブへ向かう。
バンドネオン・ドラム・ピアノのおばちゃんトリオが演奏するその店はどうやらレズビアンが集まる場所。バーテンダーと一部の客以外は女性ばかり。
「アマゾンズ」という女性2人のバトルショーやパンクテイストのシンガーなども登場し盛り上がる。

シモーヌはウエイトレスをやっている彼女と一緒に帰ろうと誘うが彼女が男性客に捕まってしまい諦めて一人店を出る。
(その直後、店で事件が起きる)

夜道を一人歩くシモーヌに近づいた一台のボルボ。
乗っていた老紳士は運転を任せるからと誘いシモーヌは運転席へ。
もう一杯飲む?と誘うシモーヌだが、開いてる店もなく、彼女の家へ車を走らせる。
どこか寂しげな老紳士を楽しませるようにしゃべくるシモーヌ。
やがて流れ出す哀愁漂う歌♪を聞き、静かに涙を流す老紳士。

ポルノ映画館、レズビアンクラブ、ボルボの車内。
夜、深夜、夜明けまでの3つのシチュエーションで違う一面を見せるシモーヌ。
タイトルの"淑徳"は、最後の車内のやり取りで感じるような。
ちょっと不思議な一夜が味わえます。
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